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出版基礎知識/出版リスク(1)

Category: 出版について

2014.12.17

私は現在、「出版の新しい風」として、Amazonで自費出版することを勧めていて、いろいろなところで、そのお話をする機会が多く、そこで、自費出版について、いまさら説明するまでもありませんが、少しだけ考えてみたいと思います。
 
文字通りに言えば、「自ら」が「費用を負担」して、本を「出版」することですが、この「費用を負担」する「自ら」とは、著者のことです。著者が自分で執筆した原稿を出版するのに必要な費用、これを出版社に支払って本を出すわけです。では、「自費」でない出版とは何かといえば、それが普通の(一般的な)出版のことなので、これを「自費出版」とあえて区別するために、「商業出版」と言ったりします。
 
「自費出版」にせよ「商業出版」にせよ、本を書籍として出版するには、それなりの手間と費用がかかり、これを誰かが負担しなければなりません。これを「出版リスク」と言います。
 
この「出版リスク」について、説明します。
 
自費出版の費用のほとんどが、この「出版リスク」に関係しています。
 
出版リスクには、物理的な制作費用の他に、発行した書籍を全国の書店で販売するための「流通リスク」があります。
 
いま、実稼働している書店の数は、全国で約15000軒ですが、全ての書店に1部づつ置くだけの単純計算でも、15000部を印刷製本しなければなりません。この費用は数百万円と、かなりの額になり、これだけでも大きな「出版リスク」ですが、「流通リスク」も大きなものになります。
 
出版社は、発行した書籍を書店に直接納品するわけではありません。「取次」という卸問屋を通して納品し、書籍の売り上げも「取次」を経由して回収します。

どこの書店に、どの本を、何冊何部納品するか(これを配本といます)を決めるのは、この「取次」です。ですから、出版社の都合や著者の希望で、たとえば15000部を印刷製本しても、「取次」が配本数を3000部と決めてしまえば、残りの12000部は全て出版社や著者の在庫になります。
この在庫も、「出版(流通)リスク」です。
 
15000軒ある書店に対して3000部の配本であれば、現実には200~500軒の書店に、数冊ずつ納品されることになり、95%の書店には置いてもらえないことになります。
この配本率もまた、「出版(配本)リスク」です。
 
このような仕組みなので、せっかく自分の本が出版されたのに、どこの書店にも見かけないということを、多くの著者が経験します。
 
次回は、書籍の配本の仕組みについて、もう少し詳しく説明します。

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